マレーシアの賃貸契約で注意すべきことは?保証金(デポジット)と契約期間のポイントを解説【2026年版】
マレーシアで部屋を借りるとき、日本との違いに戸惑いやすいのが「保証金(デポジット)」と「契約期間」です。
敷金・礼金はないかわりに、入居時に家賃の数か月分のデポジットを払い、契約期間中に退去すると返ってこないこともあります。この記事では、契約前に知っておきたいポイントをまとめました。
この記事の結論
- 入居時の初期費用は「家賃2か月分の保証金+0.5か月分の光熱費デポジット+前家賃1か月分」が一般的(通称「2+0.5+1」)
- 契約期間は1年または2年が多く、期間中に解約すると保証金が戻らないことがある
- マレーシアには賃貸専用の法律がなく、契約書(Tenancy Agreement)の内容がすべて
- 契約書には印紙税(Stamp Duty)が必要。2026年からは自己申告制に変わっている
01マレーシアの賃貸契約の基本
マレーシアの賃貸は、オーナー(大家さん)と入居者がTenancy Agreement(賃貸契約書)を交わして契約します。間に不動産エージェントが入ることが多く、家賃の交渉や契約書の作成もエージェントが手伝ってくれます。
日本との大きな違いは、入居者を守る賃貸専用の法律がまだないことです。住宅賃貸法(Residential Tenancy Act)の導入が検討されていますが、2026年10月時点では施行されていません。そのため、保証金の返金ルールや解約条件などは、契約書に何が書かれているかで決まります。
02保証金(デポジット)の相場と注意点
初期費用の目安「2+0.5+1」
KL周辺のコンドミニアムでは、入居時に次の費用を払うのが一般的です。
- Security Deposit(保証金):家賃2か月分。退去時に原状回復費などを差し引いて返金される
- Utility Deposit(光熱費デポジット):家賃0.5か月分。電気・水道代の未払いに備えるもの
- Advance Rental(前家賃):家賃1か月分。最初の月の家賃
- そのほか:印紙税、契約書の作成費用、アクセスカードのデポジットなど

家賃RM3,000の場合の初期費用の例
- 保証金(2か月分):RM6,000
- 光熱費デポジット(0.5か月分):RM1,500
- 前家賃(1か月分):RM3,000
- 合計:RM10,500+印紙税・契約書作成費など
※物件やオーナーによって条件は異なります。
保証金で気をつけたいこと
- 返金の期限と条件を契約書で確認:法律で返金期限が決まっていないため、「退去後○日以内に返金」と書かれているかをチェック
- 入居時に部屋の状態を記録:傷や汚れ、家具・家電の動作を写真や動画で残し、オーナーやエージェントと共有しておく。退去時に「もともとあった傷」と証明できる
- 保証金を最後の家賃にあてない:「最後の2か月は保証金から引いて」という払い方は、契約違反になることが多いので避ける
- 受け取りの記録を残す:支払いは振込にし、領収書(Receipt)を必ずもらう
03契約期間と途中解約の注意点
契約期間は1年または2年が一般的
マレーシアの賃貸契約は、1年契約か2年契約が多く、「1年+延長オプション1年」という形もよくあります。数か月だけの短期契約に応じてくれる物件は少なめです。
途中解約すると保証金が戻らないことも
契約期間の途中で退去すると、保証金の一部または全額が戻らない(没収される)のが一般的です。仕事の都合などで急に帰国・転勤する可能性がある人は、次の条項が入っているかを確認しましょう。
- Diplomatic Clause(ディプロマティック・クローズ):転勤や帰国など、仕事の事情でマレーシアを離れる場合に、一定の条件で途中解約できる条項。「入居から○か月以上経過」「○か月前に通知」などの条件がつく
- Early Termination(早期解約):途中解約したときに、保証金がいくら差し引かれるかの取り決め
更新・退去の通知期限
契約を更新するか退去するかは、満了の1〜2か月前までに通知するのが一般的です。更新時は家賃の値上げを提示されることもあるので、早めに話し合っておきましょう。
04契約書(Tenancy Agreement)で確認したい項目
契約書は英語で書かれています。サインする前に、少なくとも次の項目は確認しておきましょう。

- 家賃・支払日・支払方法、遅れた場合のペナルティ
- 保証金の金額、返金の期限と条件
- 契約期間、更新オプション、更新時の家賃の決め方
- 途中解約の条件(Diplomatic Clauseの有無)
- 修理費の負担:小さな修理(例:RM200以下)は入居者、大きな修理はオーナー、など
- エアコン清掃など定期メンテナンスの負担
- 付いている家具・家電のリスト(Inventory List)
- ペット、喫煙、又貸しなどのルール
わからない条項は、サインする前にエージェントへ確認しましょう。翻訳ツールだけでは意味をつかみにくい表現もあります。
05印紙税(Stamp Duty)も忘れずに
賃貸契約書には印紙税(Stamp Duty)がかかります。印紙税を払っていない契約書は、トラブルになったときに証拠として使えない場合があるので、必ず手続きしておきましょう。
2026年の印紙税のポイント
- 年間家賃RM250ごとに、契約期間に応じた税額がかかる(1年以下はRM1、1年超〜3年はRM3など)
- 以前あった「年間家賃RM2,400までは非課税」の控除は廃止されている
- 2026年1月から、LHDN(内国歳入庁)のMyTax上で申告・納付する自己申告制に変更
- 契約書にサインしてから30日以内に手続きが必要。遅れると罰金がかかる
- 法律上の納税義務は入居者側にあるが、実際はエージェントが代行し、費用を入居者が負担するケースが多い
(例)家賃RM2,500・1年契約の場合:年間家賃RM30,000 ÷ 250 × RM1 = RM120(2年契約ならRM360)
※税率や手続きは変更されることがあります。契約時にエージェントやLHDNの最新情報をご確認ください。
06トラブルになったときは?
保証金が返ってこないなどのトラブルは、まずは契約書をもとにオーナーやエージェントと話し合います。それでも解決しない場合、マレーシアには賃貸専門の紛争窓口がないため、民事の裁判所で解決することになります。
RM5,000以下の請求であれば、弁護士なしで手続きできる少額訴訟(Small Claims)の制度があります。とはいえ時間も手間もかかるので、契約前の確認と入居時の記録で、トラブル自体を防ぐのがいちばんです。
Q&Aよくある質問
Q. マレーシアの賃貸の保証金はいくらですか?
A. 家賃2か月分の保証金と、0.5か月分の光熱費デポジットが一般的です。これに前家賃1か月分を加えた「2+0.5+1」が初期費用の目安です。
Q. 保証金はいつ返ってきますか?
A. 法律で決まった返金期限はなく、契約書の内容によります。退去後14〜30日以内などと書かれていることが多いので、契約前に確認しておきましょう。
Q. 契約期間の途中で退去できますか?
A. 退去はできますが、保証金の一部または全額が戻らないことがあります。仕事の都合で帰国・転勤の可能性がある場合は、Diplomatic Clause(途中解約条項)を入れてもらえるか交渉しましょう。
Q. 敷金・礼金はありますか?
A. 日本のような礼金はありません。敷金にあたるのがSecurity Deposit(保証金)で、退去時に精算して返金されます。
✓まとめ
マレーシアの賃貸契約は、保証金の返金も途中解約の扱いも契約書の内容次第です。
初期費用は「2+0.5+1」が目安。契約期間は1〜2年が中心で、途中解約の可能性があるならDiplomatic Clauseの確認を。入居時の写真記録と印紙税の手続きも忘れずに行いましょう。
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